道徳授業実践記録

携帯電話の危険性を知っていますか?
 
 
小学高学年〜中学2年生向け
携帯電話に興味があり,使用している生徒に 携帯電話の危険な使用方法について知り,考える授業
 
 便利な携帯電話ですが,思わぬ落とし穴が潜んでいます。自分のみを守る
ためにもしっかりとした使い方を知ることが必要です。
 この授業では,携帯電話の初歩的な危険性について触れています。携帯電
話を持ちたいと思っている生徒や,既に持っている生徒にも知ってほしい内
容を取り扱いました。  
参考資料

国民生活センターホームページ

悪質な「利用した覚えのない請求」が横行しています

あわてないで!! クリックしただけで,いきなり料金請求する手口

携帯電話のいわゆる「ワン切り」に関する相談について
 
 
●ねらい
 携帯電話の使い方について考え,便利なものにも危険が伴うことを知る。(4−4) 正義)
 
●準備 なし
 
●授業の実際(2年生で実施)
 「今日は携帯電話について考えます」と言って授業を開始した。
1) 携帯電話を持っていますか。
■生徒の現状を把握する質問である。
持っている・・・21名
持っていない・・16名
 挙手で確認した。自分の機種を隣の生徒に言ったりして教室が騒がしくなった。
 
2) 携帯電話のメールを使っている,もしくは使ったことがありますか。
■携帯電話はあるが,メールは使わないという生徒がいるので,その確認である。
いる(ある)・・28名
ない・・・・・9名
 ないと答えた生徒は全員男子生徒であった。女子はメールがやりたくて携帯電話を購入することが多いようだ。
 
3) 携帯電話のよいと思われるところは何ですか。
■携帯電話のプラスの部分を聞く発問である。この発問を入れることにより,「プラスなものでもマイナスの部分がある」という考えにつながる。
・どこからでもかけられる
・メールができる
・目さましアラームがついている
・カメラがついている
・リモコンになる
・時刻が分かる
 生徒達は,本当に便利なのだという感じで発表をした。人数を確認すると,「どこからでもかけられる」が約半数,「メールができる」・「目覚ましアラームがついている」が約三分の一と多かった。
 
4) 携帯電話のメールのトラブルにあったことがありますか。
■これも生徒の現状を把握する質問である。
ある・・・2名
ない・・・35名
 「ある」という2名の生徒の事情を聞いたら,2名ともチェーンメールが回ってきたということだった。それをどうしたか聞くと,1名は「回してしまった」ということだったので「そういうのは止めても大丈夫だよ」と助言した。
 
5) ワン切り,迷惑メールの経験はありますか。
■これも生徒の現状を把握する質問である。
ある・・・24名
ない・・・13名
 話を聞くと,「ワン切り」は以前は結構あったということだった。「迷惑メール」は,メールアドレスを長いものに変えて対処していた。
 
6) アンケートや占いが好きで,無料サイトについついアクセスしてしまうかもしれない,という人いますか。
■ここから本題に入る。携帯電話やメールについての危険性についての問題である。
はい・・・0名
いいえ・・37名
 なぜ「いいえ」なのかと聞くと「有料っぽいから」,「お金がかかるから」という理由だった。
 
 危険性について説明する。
 アンケートや占いに必要ということで,名前,住所,電話番号,メールアドレスなどをむやみに書き込むと危険です。そういったところで集められた個人情報のデータが売買されていることもあるのです。そういうデータから,迷惑メールなどが届いたりするのです。
 
7) 携帯電話に友達の情報を入れてあるから,手帳など持っていない(だろう)という人いますか。
■生徒の現状を把握し,危険性を考えさせる発問である。しかし,次の8)とセットになっているのであまり深く話し合わなくてもよいだろう。
はい・・・19名
いいえ・・18名
 手帳自体持っていない生徒が多かったのでどう答えたらよいのか迷っていたようだった。
 
8) 携帯電話は命の次に大切だから,肌身離さず持ち歩いている(だろう)という人いますか。
■生徒の現状を把握し,危険性を考えさせる発問である。
はい・・・17名
いいえ・・20名
 学校には持ってきてはいけない「きまり」があるので,「普段出かけるとき」という補足をした。もっと多くの生徒が持ち歩くと予想していたが,現段階ではメディアで報じているような多くの生徒がはまっているわけではないようだ。
 危険性について説明する。 
 持ち歩いていると,その分,なくしたり盗まれたりする可能性が高くなります。もしもなくしたり,盗まれたりしたら大変です。6) でも説明しましたが,個人情報が流れてしまいます。しかも,携帯電話に登録してある友達全部の情報までが流れてしまうのです。自分だけでなく友達にまで迷惑がかかってしまうかもしれません。
 
9) このような危険に遭わないためにはどうすればよいのでしょうか。
■携帯電話を持っていない生徒は分からないだろう。教師が解を教えるのではなくて,知っている生徒が答えて,全員が知るという形式にしたい。
 6)の場合について聞いてみたところ,生徒からすぐに「アクセスしない」と答えがあった。「そうだよね。無料だからといって,すぐに飛びつくのは危険だよね」と答えた。
 7)・8)の場合について聞いてみたところ,これもすぐに「首から提げればいい」と答えがあった。「そうだよね。でも,他にないかな。」と聞くと少し経って「ダイアルロック」という声が挙がった。分からない生徒のためにダイアルロックについて説明し,「他の人が簡単に使えないようにするには,そういう方法もあるよね。」とまとめた。
 
 最後に授業の感想を書かせて終わりにした。
・携帯は,落としたり変なサイトとかアクセスしなければ便利なのに・・・。携帯を持っているからには,責任を持って持つこと。使い方によっては携帯も悪くなってしまうのです。もっと気をつかってってみたいと思います。
・便利だけれど危険がたくさんあるということが分かってよかった。危険性を考えるのは難しかった。これから買って,サイトを利用するときにはよく考えてから利用しよ うと思った。
・この授業を通して,無料サイトの危険性がよく分かった。これから,携帯電話を持つときには気をつけようと思った。
・携帯のことを勉強してみて,電話などができるのは便利だけど,サギが多いのはいやだなと思った。ワン切り,迷惑メールがあるのもいやだと思った。
  
 
●授業実践を終えて
1) 追実践するにあたって
 生徒の現状を把握しながら行う授業なので,状況に応じた言葉かけが必要である。「これから持つかもしれないから」とか,「似たような被害を増やさないために」などである。
 
2) 資料(ワークシート)

              年  組  番 氏名(         )
1) 携帯電話を持っていますか。
 はい いいえ

2) 携帯電話のメールを使っている,もしくは使ったことがありますか。
 はい いいえ

3) 携帯電話のよいと思われるところは何ですか。


4) 携帯電話のメールのトラブルにあったことがありますか。
 はい いいえ

5) ワン切り,迷惑メールの経験はありますか。
 はい いいえ

6) アンケートや占いが好きで,無料サイトについついアクセスしてしまうかもしれない,という人いますか。
 はい いいえ

7) 携帯電話に友達の情報を入れてあるから,手帳など持っていない(だろう)という人いますか。
 はい いいえ

8) 携帯電話は命の次に大切だから,肌身離さず持ち歩いている(だろう)という人いますか。
 はい いいえ

9) このような危険に遭わないためにはどうすればよいのでしょうか。


授業の感想:


 
 
参考資料 栃木県警 生活安全コーナー 
☆ 「ワンクリック」による架空請求に ご注意!
 インターネットや携帯電話のアダルトサイトなどで、何気なく画面をクリックしたらいきなり「ご入会ありがとうございます」と有料サイトの会員登録をした画面が表示されて会費を指定口座に振り込むよう請求された。

 後になってトップページをよく読み返したところ「18歳以上で利用規約に同意し入会する方のみご利用下さい。」 などと小さく書かれており、更に「利用規約」を読んでみると「ご利用料金は、定額 XX000 円です。ご利用期間はXX 日間です。」と書いてあった。

 登録画面には「IPアドレス」や自分が使っているプロバイダの名前・自分が使っているパソコンのOS(Windowsなど)の名前がちゃんと書かれている。

 自分の個人情報がアダルトサイトにわかってしまったようだ。お金を振り込んでしまったほうが良いのか?どう対処していいのか?
 といった相談が急増していますが、これは「ワンクリック詐欺」「ワンクリック不当請求」と呼ばれる手口の新しいインターネット上の「ワナ」です。
 原則として、「IPアドレス」「ホスト名」「プロバイダ名」などから簡単に個人情報は引き出せません。---つまり、請求した側はあなたの個人情報を把握したわけではないのです!
 
▲ワナに引っかからないで下さい!
 トラブルを恐れて、安易に請求先に送金したり電話連絡をしないよう注意して下さい。もし、該当サイトにアクセスした結果料金請求があっても、勘違いによる契約は原則として無効になります。
 法律上、利用者が契約をするに当たり錯誤(勘違い)があった場合、その契約は原則として無効となる旨が定められています。(民法第95条及び電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律第3条)
 
▲それでも不安なときは--
 契約に当たって錯誤があったかどうか不安な場合には、料金を支払う前に、警察や消費生活センター等を利用して、本当に契約が成立し料金を支払う必要があるのか確認するようにして下さい。
 これからも新しい手口の「ワナ」がネット上に仕掛けられることが予想されます
が、なにより大切なのは


 
知らないアドレスからのメールは開かない
あやしいページは見に行かない
利用規約は必ずチェックする
という基本をまもってインターネットを利用することです。

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