電気とは
- 全ての物質は原子からできて、その原子も原子核と電子からできています。
原子核には陽子と中性子があり電気的にプラス(+)で、電子は原子核のまわりにあって電気的にはマイナス(−)です。
電気とはこの電子が移動する事なのです。
- 物質によって分子の形や、陽子、中性子、電子の数は違いますが、通常においては陽子と電子が同じ数づつあって、原子は電気的に中性の性質を持っています。
電気が流れる物、流れない物
- 物質には金属や炭素の様に電気を伝える物(導体)と、ゴムやビニールの様に電気を伝えない物(不導体)があります。
導体と不導体の違いは、導体は原子核の電子を引きつける力が弱く電子が動きやすくなっているのに対して、不導体ではその力が強く電子が動きにくい、という点です。
導体の動ける状態にある電子を自由電子と言い、電圧、熱、光、衝撃などにより移動して電気が流れます。
- 電気の速度は30万Km/秒です。しかし、これは電気の正体、電子がその速度で
移動するのではありません。実際の電子の移動速度は1秒間に数mm程度。しかし、
その電子の動きが玉突き状態で次々に伝わり、その速度が30万Km/秒なのです。
- 水は電気を伝えますが、水そのものは不導体で、水に溶け込んだ様々な物質が電気を伝えるのです。
ですから不純物の一切入っていない超純水は電気を通しません。
- 熱電対とは高い温度を測る温度計で2種類の金属をつなげて作られています。
- 圧力電池とは金属をたたく事により電気を起こす物でライターなどに使われています。
静電気
- 摩擦などの刺激によっても電子を移動させる事ができます。
物質を擦ると擦った物から電子が剥ぎ取られて擦られた物へと移動します。
その物質が導体であれば一度は移動した電子がすぐに元へと戻ってしまうのですが、プラスチックなどの不導体であると、元へとは簡単には戻らず電子が溜まっていきます。不導体は原子核と電子の結びつきが強い一方で、一度離れてしまうと今度は元に戻りにくい、という性質があるからです。
この溜まって流れない電気が静電気です。
- 不導体に溜まった静電気はそのままでも徐々に放電され失われていきます。
しかし、導体に近づけるとその放電が一気に起こり、スパークします。
- スパークの起こる距離はその溜まっている静電気の量によって変わります。
衣類に溜まった静電気などでは体が導体に触れる直前で起こりますが、雷の様に大量に溜まった静電気は空気という絶縁体を1,000m以上も突き破って放電されます。
- 空気は絶縁物ではありますが、水分を含んでいるのでそれにより徐々に静電気を放電させる事ができます。
ですから空気の乾燥している冬には電気が逃げにくく静電気が溜まりやすいのです。
- 冬場の静電気放電によるバチッという衝撃(スパーク)を避けたいという方は、いきなり金属部分に触れずに、手に持った鍵などの金属で一度物に触れて放電してからにする、コンクリートなどのゆっくりと放電の進む物に触れてからにする、という方法があります。
- 「空雷様(かららいさま)は怖い」という言い伝えがあります。空雷様とは雨の降っていない時の雷の事ですが、これは雨という前兆無しにやってくるので怖いという事と共に、雨という多量の湿気の無い状態で起こる放電ですから、より強い雷である、という事もあるでしょう。
電流
- 電気の流れの事でその量を表す単位はA(アンペア)です。
電気の流れとは電子の移動の事なのですが、その流れる向きは「電気は+極から−極へと流れる」とされているのに対して、実際の電子の移動は−極から+極へと移動します。
これは電子が発見される以前に「電気の流れる向きは+極から−極へ」と決めてしまった為その後電子が実際には逆に流れているのが発見されてもそのままにされているからです。
電圧
- 電圧とは電気を流す為の力の事で単位はV(ボルト)です。
電圧はよく水圧に例えられる様に2点間の圧力の差(電位差)で、電流は電圧があって始めて流れます。
電力
- 電気の行う仕事量の事で、単位はW(ワット)です。
電力の求め方は、W=V(電圧)×A(電流)で、例えば100W(の仕事をする)電球を100Vで点灯させると1Aを使う、という事になります。
発熱量
- 電気を抵抗ある導体に流すと発熱します。その発熱量の単位はJ(ジュール)です。
発熱量の求め方は、J=A(電流)2×R(抵抗値)×t(秒)で、また1Jの熱量は1Wの電力が1秒間に発熱させる熱量なので、W=J÷秒でもあります。
電気量
- 物質や電子などが持つ電気の量を電気量(電荷)といい、その単位はC(クーロン)です。
1Cの電気が流れると100Wの電球を点灯させる事ができ、また1Cの電気が溜まっている(静電気)物質2つを1mの距離に置くと、その間には100万トン以上の力(ひきつけ、または反発)が働きます。
- 静電気を帯びた髪の毛が逆立ったりするのは同じ性質(プラスどうしやマイナスどうし)の電荷が溜まっていて反発し合うからです。
- 電子1個の電気量は1.60207×10-19Cです。これは電気量の最小単位で電気素量といいます。
ちなみに電子1個の質量は9.1085×10-31kgです。
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