桃花流水 |
別に知ったか振りをする積もりじやないけど、ちょっと知っていて とっても好きな詩がある。 余に問ふ何の意ありてか碧山に栖むと。 笑って答へず心自ら閑なり。 桃花流水杳然として去る。 別に天地の人間に非ざるあり。 (山中問答 李白) 私は、何時までも生臭くて、悠々と天地自然を楽しむ心になどなれない から、この詩のような閑静な心に憧れている。 「山の中には、桃の花が咲き谷川の水がはるかに遠くまで流れていて、 俗世間以外の別天地があり・・・・・。」 此処は桃源郷かもしれない。 |
桃源郷!!・・桃の花の咲き乱れる平和な理想郷・・・空想の世界・・・。 空想はお手のものだ。心の中に桃源郷を持てばいい。 いや待てよ、空想ではない。 不平、不満、猜疑心、そういうものを全部捨て去り、心を空(くう)にする 「一切空」の心になった時、私は心地よく「桃源郷」に遊ぶことが出来る のではないか。 私が初めて書いた横額は「一切空」の三文字だった。 まだ四十歳位だったと思う。しかし、私は遂に「一切空」ではいられなかった。 私の肉体が文字通り「一切空」になる日まで、どれだけの猶予期間があるか 知らないが、「私の桃源郷」を私なりに探し続けよう。 |