12月8日 |
≪大本営発表! 帝國陸海軍は、今八日未明、米英両国と戦闘状態に入れり≫ “うっ やった〜っ”洗顔中だった父は歯ブラシを落とさんば かりだった。 昭和16年12月8日の朝、日本中を武者震いさせたラジオの 声を私は忘れることが出来ない。 小学六年の子供には詳しいことはわからないが、なんだか どえらいことが始まったらしいと一人前に興奮したものだった。 ABCD包囲網。 松岡洋右氏の国連脱退になんだか、国民は “よくやった!”みたいな感じで溜飲を下げていたような気が する。 正直言って、この辺の経緯はよく分からないが、今思えば、 日本の侵略行為に対して、経済制裁をされていたのだろうか。 ≪大本営発表!・・・・・≫ 赫々たる戦果が次々にラジオか ら流れ、小国民といえども、血湧き肉踊るものがあった。 今のように、情報が溢れ自由に知る事の出来なかった時代だも の。威勢のいい発表に、“神風が吹いているんだ”と本気で思 っていた。 教育は恐ろしいものだ。純粋な子供を洗脳するなんて朝飯前ね。 あの頃生まれた赤ちゃんがもう還暦? 21世紀の地球上で、あの頃の我々のように現人神を信じて疑わ ない人々がいるようだ。国があるようだ。 やはり、情報が操作されているらしい。 しかし、このITの時代にいつまでも、見ざる、聞かざるという わけにもいかないだろう。 我々は、徹底的に叩きのめされて、一からの出発をし廃墟の中か ら全く新しい時代を築いてきた。 経済大国だなんて言われて随分お金も出しているらしい。 しかし、好景気は長くは続いていない。 シャッターの下りたままの商店街を歩くのは淋しい。 ついに、足元の銀行が破綻した。暫く国営化されるそうだ。 好景気の波に乗ってずさんな貸付をした結果、不良債権を 回収出来なかったのが要因だろう。 地球上には、桁外れの富を持つ特権階級と、飢餓に喘ぐ人々と いう、不平等な世界がある。 目ばかり大きくて、笑うことを忘れた可哀想な子供たちを私達は 忘れてはいけない。 まして、罪もない平凡な市民を銃火の犠牲にする権利は何人と いえども、持っていない。 同じ人間として、絶対に許されないことである。(15.12.8 記) |