父の日

(その十二)


カレンダーを見ると、「父の日」と小さく書いてある

我が家には、父の日も母の日もない。あるのは老夫婦が
ひっそりと暮らしているという事実だけである。

父つまり夫は一家の主であり、我が家は夫を中心にして
動いていた。
夫の了解がなければなにも出来なかった。
典型的なワンマン亭主だったのである。

我が家は、毎日が『父の日』♪だった。

カレンダーに書かれている父の日の意味は、少し違うか
も知れない。母の日と同様に、父に感謝するというよう
なことなんだろう、多分。

私は何時も思うのだが、「敬老の日」「父の日」そして
「母の日」・・・こう云う日を一年に一日設けて、一体
なんだって云うのだろう。

カーネーションの売上は伸びるだろう。バレンタインデ
ーだってそうだ。チョコレートの業界にはこたえられな
いものだろう。

母の日が近づくとデパートの服売り場は中高年向きの
製品が溢れている。地味目なものが多いが。
パッケージだけは派手で、リボンをかけ、一様にカー
ネーションが付けてある。造花だけど。

我が家も、息子の連れ合いが毎年、父の日、母の日
には何か持ってきてくれていた。
ある日、わが亭主どんの鶴の一声が降りた。
「いろいろ有り難いが、そんなに着きれないから何も持
って来なくてもいいよ」

以来、母の日の私の楽しみも消えた。

最初に私は過去形で書き出した。

歳を重ねた今、お互いにゆったりと暮らしている積もり
でいた。まあ、事実、往年とは比較にならない気楽な
毎日だけれど・・・

いやいや、なかなか、どうして、どうして・・

何十年もの我が関白殿は、相変わらず毎日が・・

ーーーーーー『父の日』♪ーーーーーーなんです。


次へ→


トップへ戻る