月の初めに想う


(89) 十一月

十年前にホームページなるものを作った。

怖いもの知らずだった。

手元に写真もなにもない出発で、あるのは七十年の人生の想い出だけ
というお粗末なものだった。(それは今も変わりはないが)

取りあえず、私の母という明治女が、何事にも耐え、しかし芯の強い
肚の据わった人間で、尚、アイデアマンででもあったその不思議さを
綴ってみたいと思った。

しかし私は二十二・三歳ごろまでしか両親と暮らしておらず、母の
凄さを肌で感じたのは、母が晩年に入ってからだった。
弟一家と母が大阪から当地に来てから、私は漸く母と行き来できる
状態になったのだ。

それまでは当然私の凄まじい星霜があり、ホームページに何かと書き
始めたら、話は何時の間にか自分の星霜に移ってしまった。

何か載せるとしたら、少しばかり齧った書道や俳句くらいしかない。

というわけで、ホームページを始めた平成十四年から三年間、お見苦し
い駄句をぐだぐだと作って載せた。

最近になって、駄句だけど折角作ったものだからパソコンの中だけで
なく、ノートにでも書き写しておこうかと思い始めた。

和綴じのノートがあるので、ぼちぼち青墨で書き写している。

発見があった。
それは句を作った時期になにがあったのか、何をどう感じていたのか
などが分かってとても面白いことだ。

まだあの頃は私も若かった・・・。(H.24.11.1記)


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