月の初めに想う


(52)母の手の温もり



6月30日に連れ合いが退院して介護ベッドの生活に
なって早くも2ヶ月経った。

毎朝、決まった時間に来るヘルパーさんに間に合う様に、
連れ合いの洗面、朝食、薬の投与を済ませ、トイレに
連れて行っておかねばならない。

トイレに座っている間にヘルパーさんが「おはようござ
います」とやってくるので、私はバトンタッチする。

1時間、連れ合いの身体介護や、ベッドの回りのあれこれ
の仕事をしていってくれるので私はとても助かっている。

ある朝のことだった。
時間が気になって5時前には目が覚めるため、些か
寝不足気味の所為か、身体がだるく重たい。足を引き摺る
ようにして動いていた。 体が冷たい。

何時ものように台所でお湯を出した。
あっ!!。
お湯だから当然温かい。
しかし、その朝のお湯の温かさは違っていた。
湯は、温かく、柔らかく、私の両の手を包み込んでいた。

母の手の温もりだ!
懐かしい母の手だった。
疲れ果てている私を心配して、母が来てくれている。
有難う、有難うと涙を零しているうちに、ふっと体が楽に
なった。

ごく最近だけど、あまり緊張しないようにしようと
考えた。ここは病院じゃない。私の家だ。
玄関に花の香りの香を焚き、たまにはBGMを流しながら
美味しい紅茶を飲む。

「しあわせはいつも自分のこころがきめる  相田みつを」
(H.21.9.1記)


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