来し方を想ふ


(11) 夏蜜柑に重曹を


大分県のある病院で調剤をしていたことがある。
眼科を除いて他の科は全部あったと思う。

白衣を来た人は何故か色っぽい。どうしてだろう。
看護婦さんがぱりっとした白衣に着替えると何故
か別人のように美しくなる。

調剤室にも当然医師も看護婦も出入りするし、休み
時間はリラックスして果物を食べたりお喋りもする。
夏蜜柑は酸っぱいので私は嫌いだと言ったら、
色白のまん丸な顔をした看護婦さんが、にっこり
笑ってこう言った。

「重曹を少しかけてごらん、酸っぱくないよ」
大きな夏蜜柑に重曹をひとつまみかけて、ぶじゅ
ぶじゅ泡立ってるのを美味しそうに食べてみせた。

酸が中和するから酸っぱくなくなるわねぇ。
ナルホド・・・。
でもビタミンCは壊れないのかな〜。

このまんまるで色白の彼女の踵がじつにすべすべ
して魅力的だったのが今でも思い出される。
(H.18.10.7記)


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