句、折にふれて

(五)


蜩や手を振る母のまざまざと

   蜩の鳴く中を母と別れて帰るとき、窓際に立った母は
   いつまでもいつまでも手を振っていました。
   近くても、なかなか逢えない事情がありましたからねえ
   本当に切なかった・・・・。



亡弟の夢ばかり見る秋思かな

   私達兄弟姉妹の末っ子でしたからねえ。私は“坊や”と
   呼んでました。坊や、早すぎたんじゃない?・・・



墓洗ふ姉妹の影も洗ひをり

   横浜の妹と富士山の麓の霊園に行きました。
   母の笑い声が聞こえると妹が言いました。無口な弟の声は
   聞こえませんでしたねえ。
   姉達のお喋りに口を挟む時間はなかったよね・・坊や。





秋暑し郵便局へ二往復

     ほんとにしょうがない。ぼーっとしちゃってねえ〜。



秋淋しマウスのごみを独り取る

     あ〜あ、つまんないなあ。



成りゆきに任せ風船葛かな

     ホームページを作っちゃったから仕方がないけど、結構
     大変なんですねえ。あ〜あ困ったわ〜。



胡弓の音色なき風に乗りてこよ

     咽び泣く胡弓の音が、暗い家々の路地を風のように通り過ぎて
     ゆく・・・。私も八尾の夜を味わってみたい。

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