俳句


(三十三)


百年を経し紅梅の枝垂れかな

枝垂桜は良く見るが、枝垂れ梅はあまり見たことがない。
水墨画で、梅の古木を描いたことがあるが、古木はいい。


焼烏賊の匂ひ漂ふ梅花祭

水戸の偕楽園は、時期には大変な人出だ。
梅の下では、優雅に野点などが行われているというのに、
園の外では焼烏賊だの焼玉蜀黍などがいい匂いをさせて
いる。


賜りし草餅指の形ありて

手作りの草餅を頂いた。丸めた草餅を押さえる時に指二本
の跡をつけたままにするとか。珍しい話だった。


花曇派手めの服を捨てきれず

私もまだまだ女を捨てられない。家で着るのならと思い、
昔、折角仕立てた服だからと思い、とつおいつ思案橋〜♪




校庭を駆けゆく子等に花吹雪

何時も行くクリニックの隣が小学校で、校庭は桜が満開
だった。折りしも一陣の風が吹き、休み時間の子等の喚声
が花吹雪とともに私を包んだ。


鶯や主ひとりの町工場

しもたやなんだけど、鍛冶屋を一人でやっているお宅が
ある。梅の時季になると、必ず鶯が訪れている。
でも、その姿を見たことは無い。


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