俳句


(三十二)


歌留多とる母は上下呟きて

九十歳を過ぎても、母は百人一首の歌留多を楽しみに
していた。自分が取った札は小さい孫のものになった。




眠たさを忘れて子らの初詣

夜中に外を歩くなんて、子供にとっては大変な喜びに違い
ない。「寒くなんかないわ〜い!!」



兄ちゃんのやうにはいかず独楽拾ふ



身の丈に合った暮らしを粥柱

この頃は、素適な家を見ても、他所様の立派な調度品を
見ても、羨ましいとも思わなくなった。
人は人、我が家は我が家だと割り切ることにした。


霰打つ機銃掃射に遭いしかと

台北の家が機銃掃射でやられたことがある。
「ダダダダダダダッー」と壁も庭の木も穴だらけになった。
幹を傷つけられたマンゴーは、翌年、凄い豊作だったが・・


春の雪つぼみの赤を滲ませて

払えばさっと落ちる雪だけど、豪雪地帯の方々にとっては、
まだまだご苦労されていることと思う。


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