俳句


(二十六)


呼び合ひて出る銭湯や春の宵

「神田川♪」の世界ならずとも、昔の下町は皆こんな
感じだった。


箒買ふ土間薄暗き種物屋

古い昔ながらの店をみるとほっとする。薄暗い土間に
ずらずらと品物が並んでいる。冷いやりとした空気は
もう何代続いているのだろうか。


花ミモザピアノ教師の足早に

ご近所にピアノ教室がある。先生は若くてスタイルも
抜群でなかなかの美形だ。天は二物を与えてる。


クロッカス乙女独りのランチかな




春耕や老兄弟の影長し

住宅地の中に結構広い畑地がある。
老兄弟が別に口を利くでもなく、おもいおもいに
仕事をしている。


山茱萸に人影まばら水戸の園

水戸の梅を観に行ったことがある。
弘道館の庭に、さんしゅうの黄色い花が咲き乱れ
ていたが、いかにせん、水戸といえば梅!人影は
疎らだった。


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