俳句


(二十四)


手入れする庭にしばしの敷松葉

今年は植木屋さんに随分待たされたので、門の松が
茂ってしまった。お蔭で、刈り込みの間中、玄関か
ら門まで松葉を敷き詰めたようになって、とても
良い気分だった。


帰り来し子等賑やかに年用意

年々、人恋しくなるようで、こんなことを夢みている


初夢は電子辞書持ちボンジュール

外国旅行なんてしたことがない。最近はとても便利な
電子辞書ができているようだ。せめて夢でもみるとするか


恋すてふ卒寿の飛ばす歌がるた

正月二日は、母の年に一度の楽しみの日だった。若い子
達がうろうろ探す間に、ピッと飛ばすその速さといったら。



神主の足袋裏白く淑気満つ

滑るように歩いてきた神主さんから丁重なご挨拶を頂く。


六千のローソク揺るる雪の朝

阪神淡路大震災の被災者のなかには、まだまだ立ち直れない
方々が多くおられるとか。年配の方においておやであろう。


プロペラの沈む海暮れ冬の月

台湾海峡に沈んでいた日本機のらしきプロペラが忘れられない。
当時の少年兵を乗せた輸送船も沈んでいることでしょう。
沢山の御霊と共に。


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