俳句


(十七)


幕間にとりどり動く扇かな

劇場のロビーは人で溢れます。美しい扇から微かにいい匂いが
漂ってまいります。


茶屋のなか小暗きままに菖蒲園

菖蒲は湿地に咲いています。山の麓の菖蒲園です。木道を通って
そのお店に入るようになっています。薄暗い処で人影が動いてい
ました。


石楠花の揺るるは蜜を吸はれゐて

夜来の雨も上がり、石楠花が大ぶりの球の花を咲かせていました
新鮮な蜜はさぞかし美味しかったことでしょう。



青芝に異国の男談笑す

母国の言葉で楽しげに語らう男達。みなそれぞれに事情を抱えた
人達でしょう。ひとときの幸せを味わってね。


後継ぎがピアスで通る代田道

田植えの準備の終った田んぼ道。若い間はいいじゃありませんか
少しの間、ピアスもつけてみたいでしょう。お洒落もしたいわね
農業に限らないけど、人間、本気になれば自ずと格好も決まると
いうもの。


校庭の喚声ながれ五月来る

最近、子供達の声を聞かなくなりました。小学校の傍を通るのが
とても楽しいのです。ある日、少年野球の練習をしてました。
なんと言っているのか知りませんけど、選手が声を掛け合い乍ら
やってるのです。まるで高校生みたいに・・・。


母の日の母はガラスの中で笑む

母親というものは、いつも我が子の盾になっていたいものです。
ガラスの中の写真でいても、母は我が子を見守っていてくれてる
と信じています。ありがとう。


次へ→


トップへ戻る