句、折にふれて


(十四)


まんさくや風紋小さく心字池

あるお寺の山門を入ると心字の池がありました。修行僧達が
黙々と作ったものです。日常の作務を静かに勤めていました


聊かの想い捨つる日猫の恋

こういう句に余計な言葉はいりませんね。淋しいものです。





春愁や香薫きしめし部屋にゐて

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銀座の鳩居堂で「六種の薫物」と書かれた香を買って参りまし
た。ひととき、平安の雅の世界を楽しみたくて。


甘き香のいづこともなき朧かな

春の朧夜、沈丁花の香りがかすかに漂って参ります。


春潮の汀にレース模様かな

どこまでも、どこまでも広がる九十九里浜でした。静かに寄せ
る白波が砕けて作るレース模様!。美しい海でした。


紫木蓮介護の車とどまりて

最近、介護センターの車を良く見かけます。困った時には頑張
らないでお世話になりましょう。


旅立ちの真砂女に紅き春ショール

俳人の鈴木真砂女さんが逝かれた。九十六歳だった。
ひたむきな生だったとお聞きしている。いつも和服で
お洒落な方だった。


一里塚羽休めゐる雲雀かな

私の住んでいる町に「一里塚」と書かれた大木の切り株がある。
しばし羽を休めた雲雀は、また元気良く一直線に舞い上がりま
した・・・・・さ・て・と・・・私も・・。


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