句、折にふれて


(十三)


臘梅や仲間外れの子がひとり

臘梅という花は、俯いたり横を向いたりして咲いています。
私は内向的な性格でして、何かあるとすぐに背を向けて俯く
タイプなんです。(嘘つけ!ですって?)


犬小屋に犬の居るらし冬の雨

冬の雨は冷たい雨が音も無く降りとても侘しいものですね


紙飛行機とばす男の早春賦

これはテレビで見たものです。熟年男性が集って紙飛行機を
飛ばしていましたが、ある男性の話に大変感動致しました。
♪七つボタンは桜に錨♪少年航空兵の時の、南の空に消えた
友に届けと祈りつつ飛ばしている というお話でした。


口々に声を掛け合ふ暖かさ

北関東はやっぱり冷えます。不意に春めいて暖かい日だと、
会う人会う人がみな喜びの挨拶を交わします。
「今日は暖かですね」「ほんと、いい按配ですね。明日は
どうでしょうかね」「さあ、どうでしょうかねえ」


冴返る稜線白く際立ちて

日光連山というのでしょうか、くっきりと見えたのです。
男体山がひと際高く其れに連なる山々です。ごつごつと
していて、その名の通り男性的な山ですよ。




草枕抱へて辿る春の尾根

「おい」と声を掛けたが返事がない。軒下から奥を覗くと
煤けた障子が立て切ってある。 向う側は見えない。
五六足の草鞋が淋しそうに庇から吊されて、屈託気にふらり
ふらりと揺れる。・・・ご存知「峠の茶屋」がありました。
半世紀も昔の想い出です・・・。


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