露天風呂? |
私は今、二日分ずつ買い物をしている。毎日出かけるのは億劫 だし、第一、時間が勿体無い。 ある日、大荷物をよいしょよいしょと抱え込んで帰ってきた私 に、突然主人の声!。 「露天風呂付き客室だって!偶には温泉にでも行きたいなあ」 歩きが少し不自由になっている主人は、息子が誘ってもついぞ 出かけなかったのに、流石に詰まらなくなったのだろう。 或るパンフレットを見てその気になったのか声を弾ませていた。 久しぶりに、本当に久しぶりに、何年ぶりだろう。私達は 昼なお暗き杉並木の例幣使街道を通って鬼怒川に向かった。 大浴場に入れない主人が楽しみにしている露天風呂はもうすぐだ。 |
天気予報が一日ずれたのか、朝からの雨が宿に着いた頃から 土砂降りになった。 ♪土砂降りの雨のなか〜 部屋の続きの場所に、壁のない風呂場ができていた。 小庭には下駄で降りられるようになっていて、その先は渓流が 音を立てて流れ、色づき始めた紅葉の山が迫っていた。
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