四 土曜、午後十一時

  いつまでも引きずると思っていたあのことも、今になっては、良いとは言えないけど、思い出になりつつあるように思えてきた。
 私はそのまま、指輪を再び引き出しに入れると、ゆっくりと元通りに閉じ、鍵をかけた。
 ちら、と時間を見ると、もう十一時を回っていた。
 ……明日は、いい日曜日になりますように。
 そう願いながら、電気を消し、ベッドに横たわる。

 ぽつ、ぽつ、ぽつ……

「?」

 さあああっ……

「雨……?」
 ベッドから起き、外を見てみる。
 すると、微量ながら確かに雨が降っていた。
「……あら?」
 でも、空には月がある。特に気にしていなかったけど、今宵は満月のようだった。
 不思議な、光景。
 雨粒が月明かりを跳ね返し、うっすらと色づいているように見える。
「……あ」
 そして、もう、やんでしまった。
 通り雨にしても短すぎる、一生あってもあまり見られない光景だったのではないだろうか。
 たぐいまれな自然の現象に出会えたのは、単純に嬉しかった。それはこれだけで、明日はいい日になると、何の根拠もなく確信してしまうくらい。
 いい気分のまま、ベッドに横たわる。そして、目を閉じた。
 明日がいい日になることを、確信しながら。






……。
まっててね、みしお。
いま、いくから。
そのくるしみを、ときはなつから……


第五章 日曜、それぞれの朝

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