其の五
〜突撃! 藤田家の朝ご飯〜

副題:くそう、浩之……いつか殺す

 AM6:30、藤田邸。
 昨日のいざこざもなんとなく通過してしまっているところに、何かしら慣れというものも感じてしまうこの家に、次なるイベントがやってきた。
「…………」
「あ! あかりさん、おはようございますぅ!! ……あれ? どうしたんですかぁ?」
「アレを見て」
「?」

「……♪」
 そこには、料理を懸命にしている芹香がいた。
 手さばきなどはあかりに遠く及ばないが、マルチのように料理とは云えないものが出来るわけでもなく、平々凡々に調理していく様子が伺える。
「あれが何か?」
「ただのお嬢様だと思っていたら、料理とか、そんなものまでこなすなんて……」
「はぁ」
「だってそうでしょ? 普通お嬢様だったら、大○摩季の歌にもあったように、『なんにも出来ないお嬢様』が定番でしょ? でも、結構形になってる……」
「あっ、あかりさん。それはきっと、筆者のかとぱんが芹香先輩萌え〜ですから、かなり妄想入れてるんですよ」
 ――マルチにすら呼び捨ての筆者である。
「それがいけないの!」
 あかりはそう叫ぶと、がっしとマルチの両肩を掴む!
「は、はわわっ!?」
「いい? お金あって、頭も良くて、可愛くて、性格も悪くなくて、欠点も可愛らしく見せることが出来て、それでいてそこら辺にいるような平凡な男の子のことが大好きで、その男の子のために一生懸命!! そんな娘を放っておける男なんていると思う!?」
「なんだか、この前読ませていただいた『小こみ』に出てくる、平凡な女の方とすごく格好良い男の方との関係に似てますね」
「そう……まさしくあれよ……。つまり! 筆者の欲望があからさまに出てこられると、どんどん筆者好みにキャラクタがカスタマイズされていってしまうの! 時には私たちの能力すらそのまま移行されてしまうことがあるのよ!!」
「あ、それなら私もカスタマイズできますよ。もともとロボットですから」
「……マルチちゃんは、たぶん、カスタマイズしちゃうとがっかりする人が多いと思う……」
「そ、そうなんですか?」
「みんなもそうよね?」
「……あかりさんって、ときどき誰に話しかけているかわからないときがあるんですけど……」
「気にしなくて良いよ」
「はぁ」

 ………………。

 そんなあかりの考えとは裏腹に、料理が出来上がったようだ。
「……………」
 嬉しそうだ。
「……さて、お味の程をみましょうか?」
「……私、わからないですぅ」

「!」
 芹香の料理は、悔しいながらもまともだった。
「へ〜、芹香先輩って料理も出来るんだなぁ、感心するぜ」
「………♪」
 とっても嬉しそうだ。
(……いよいよもってまずいよ……。これで不味ければ……)
「この卵焼きも、多少焦げてるくらいがちょうどいいぜ」
「………」
「は? 何? それは焦げてるわけではありません? 隠し味です?」
 こく。
 そう言われてあかりはもう一度味を確かめてみる。
 美味しいと思うが、今まで味わったことがない、調味料では類を見ない変わった味だ。
「来栖川先輩。これって……隠し味は何ですか?」
「…………」(注:芹香)
「……」(注:浩之)
「……」(注:あかり)
「……一応、私もいますよ」(注:マルチ)
 とてもやばそうな名前だった。
「せ、芹香先輩? その……バなんとかって、どこから買ってきたんだ?」
「……………」
「え? 来栖川先輩が作った……魔導書に書いてあったんですか……?」
 とてもやばい、と思ったが聞いてみる。
「と、ところで、原材料は何だ?」
「…………」
「あ、そ、そう……企業秘密なんだ……どっかのジャムみたいだな……はは……」
 こく。
「じゃ、じゃぁ、せめてヒント」
「…………………、……………」
「……」
「……」
「ど、どうされたんですかぁ? お二人とも……」
 とんでもなく解りやすいヒントだった。
 これにより、台所に立つのは必ずあかりになったことは云うまでもない……。
「気になりますぅっ!!」
「……言うんじゃねぇ」
「……知らないことが幸せって、こういうことなのかな……?」
「?」



其の六 〜さわやか”自称”奥様〜に行かない?

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