其の六
〜さわやか”自称”奥様〜

副題:このタイトル元ネタの「さわやか奥様」って知ってる??

 今日は平日、だ。朝からいろいろあったが、平日なのだ。
 平日、と云うことは学生という身分上、大学に行かなければならない。
 ……大半の場合、たまにはさぼってもいいのだろうが、オレの場合、大学一年生にしてすでに留年を決定的にしているほど単位がない。
 すでに前期の単位は確定しており、自慢じゃないが0だ。
 オレも努力はした。必勝とまではいかないが、ノート持ち込みOKのものはあかりノートをばっちりコピー、コピー不許可のものは丸写しして、持ち込み不可のものは必修以外最初から切り落とすなど、自分で言うのもなんだが素晴らしい計画性をもってのぞんだのだ。
 そして、テストもまぁ、赤点は免れる位は出来たと思う。
 しかし、無情にも、あのハゲ&変に臭い香水オヤジ共が出した審判は、全て「不可」だった。
 あの一生懸命費やしたオレの時間を返して欲しい。
「授業に一度も出なかった浩之ちゃんが悪いんじゃない?」
「それをいうな」
 ……しくじったのはここだった。
 あかりは、毎日一限から授業を取り、オレは低血圧なので……
「うーん……浩之ちゃんはどっちかっていうと高血圧だよね?」

 でこぴんっ!!

「あっ!?」
「さっきからオレの心を読んでんじゃねぇ!」
 こいつはエルクゥかよ……ったく。
「じゃあ、私はアカエルかな? 千鶴さんはともかく、梓さんのエルクゥだからアズエルって、ベタベタも良いところだよね。エディフェルとか、リネットっていう名前付けた時点で燃え尽きちゃってる感じ」
「……お前、刺されるぞ?」
 しかもまた心読んでるし。
「大丈夫、刺されるのは作者であって私じゃないよ」

 ――ごめんなさい……。

 ……横道に逸れた。閑話休題というヤツだ。
 オレはそのため、二限から授業を取っていた。つまり、朝の浩之ちゃ〜んコールがなくなったのだ。とても素晴らしいことのはずだった。
 が、蓋を開ければ、

「あ〜っ、まぁいいか、大学って講義全部出なくても良いって話だからな」
「あ〜っ、いいか、今更行って途中から聞いても意味ねーよなぁ」
「あ〜っ、いいか、ここまでさぼっちまったら」
「あ〜っ、必修一つもとってねぇ。ん? 来年でもいいのか。んじゃいいや」

 これの繰り返しでオレは前期全休という、ある意味素晴らしいことをやってのけた。たぶん前代未聞だろう。
 違う? お前もやった? ……へっ、マイ同志ってやつだな。
「それでも初日くらいはちゃんと出るよぉ……」
「常識なんて、簡単に覆されるものだろ?」
 オレのセリフにさすがに呆れたのか、ふぅ、とため息をもらす。
「ちゃんと四年で卒業しようよ、ね?」
 ……まぁ、そうだよなぁ。留年もやっちまえばどうってことはないだろうが、留年する目的でもない限りそれは人として終わってる気がするし。
「私って、専業主婦が似合ってると思うんだよね。だから旦那さんにはしっかり働いてもらわないと」

 ………留年、してもいいかもな。
 あかりさんの真意を理解したくもないオレの頭に、そんなつぶやきが少し過ぎった。



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