其の四
〜ルームメイト 来栖川芹香〜

副題:それあったら即買いだなぁ(死)

「何なんだよ、今日は……ふぅ」
 ここは、オレの、家、だよな?
 なんかそうも思わせないぜ。
 えっと? オレの隣の部屋がマルチで? 向かいにあかりがいて?
 ………? 芹香先輩はどこにいるんだ?

 つんつん

「ん? ……うをっ!?」
 真後ろに芹香先輩がいた。全く気配も感じさせないというのは……綾香ですら気が付かないらしいから、すでに『無』の域に達している。ある意味達人のなせる技なのかもしれない。
「…………」
「え? 驚きましたか、って? あぁ、結構ビビったぜ」
「………」
「ごめんなさい? いや、そんな謝る事じゃないって」
「………」
「ほっとしました? はは、謝られる方が恐縮しちまうぜ」
「……」
 芹香先輩、微笑んでるな。……といっても、微笑んでいるかどうか区別するのは大変だけどな。たぶん、オレと来栖川家くらいなもんだ。
 芹香先輩は、そのまま、大きいバッグを置き、中身をごそごそと探り出す。そして、ひらひらしたピンクのネグリジェ……派手だなぁ……を取り出すと、肩に掛かっているコートを脱いで、スカートに手をかけて……って、
「まてぇぇぇっ!」
「……?」
「ど、どうかしましたか? って……」
 いきなりスカートを取ろうとしてるんじゃ、そりゃ止めるぜ。こういうのは順番が大事だからな……、ってオレは何を言ってんだ?
「…………」
「えっ? 着替えるだけだって? そ、そりゃそうかもしんねーけどよ……」
「………」
「ではどうして、って? ……オレの前で着替えるのはさすがにまずいだろ?」
「……」
「め、迷惑ですか? って……そりゃ男とすれば迷惑どころか目の保養に……」
「…………」
「保養になるならいいって!?」
 いかん……そんなもの見せられたら、オレのリミッターがあっさり解除されちまうぞ……。リボルバーはいつでも充填済みだし……、ってさっきからどーもダメだ……毒電波か?
「あ、オレ、ちょっとトイレ」

 ばたん

 はーっはーっはーっ……。
 呼吸を整えなくては。
 しかし謎だ。何で先輩がオレの部屋に……………謎は全て解けた。
 思えば、ベッドがある部屋自体、オレの部屋と親父とお袋の部屋しかねぇじゃねーか。先輩、布団なんか使ったことなさそうだしな。寝るところイコールベッドなんだろう。あの部屋にはあかりがいるしなぁ……あれ? まてよ? あの部屋はベッドが二つあったはずだよなぁ。

「……」
「わっ!? 先輩!! もう着替え終わったのか?」
 こく。
「ところでよ、どーしてオレの部屋で着替えようとしたんだ?」
「…………」
「は? あかりに言われた? なんて?」
「………」

 がちゃっ!!
「あかりいいいいいっ!!!」
「きゃっ!? な、何? 浩之ちゃん」
「なんでオレの部屋が先輩の部屋になるんだよ!」
「え? だって、ここって、叔父さんと叔母さんの部屋だよね?」
「あぁ?」
「となると、やっぱりこれから夫婦になる二人が使わないと」
「……」
「? どうしたの浩之ちゃん?」
 その一言によりあかりは、オレのデコピンマキシマム(中指逆反りによるデコピン)の刑に処された。



 余談。

「あかりさん、もしあそこで浩之さんのリミッターが外れたらどうするつもりだったんですか?」
「イタタ……あっ? 考えてなかった……」
「………………」
(私はそれでもいいです? ……ってこの女、いけしゃぁしゃぁと……)



其の五 〜突撃! 藤田家の朝御飯〜にでもいこうか?

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