其の三
〜きもちんよか〜、バスタイム〜

副題:20代後半以上でないと意味不明なタイトルだなぁ。覚えてる? あのCM。

 ……。
 暇だ。
 いきなり三人に膨れ上がったあとに、誰もいなくなると、前まで一人だけで住んでいたのに、なんだか虚しい。
 今、あかりとマルチは風呂だ。
 ……以前のオレなら覗きにでも行ったかもしれないが……。

『浩之ちゃんならいつでも覗いていいからね』

 って言われちまったら、なぁ? 
 その気があっても萎えるってやつだぜ。
 女風呂とは相手がいかに気が付かないように覗くかが勝負!! と力説(?)しているオレとしては、そこまで堂々とした女に対してはやりたくねぇ。
 さすがあかり。オレの性格を読み切った上でのセリフだぜ。
 だけど、オレが行くわけねーだろ? とか言ったら、なんだか舌打ちしていたように見えたのは気のせいか?

(気のせいじゃないよ、浩之ちゃん)
「……あかりさん、どうして隠れる必要があるんですかぁ?」
(しっ! あ、テレビ付けた……しょうがない、お風呂入ろうか?)
(……15分も裸で寒くないんですかぁ?)
(ちょっとだけ、寒いかな?)
(……)



「ふぅ〜っ……やっぱり浩之ちゃんちのお風呂はちょっと違うよね」
「そうなんですか? では、あかりさんの家のお風呂は違う形をしているんですか?」
「え? 普通のお風呂だと思うけど……」
「?? ですけど、先程、お風呂がちょっと違うって……」
「ふふ……それは女の事情ってものだよ。マルチちゃんもそのうち解るよ」
「???」

 ……いや、たぶんそれは理解して欲しくない範囲かもしれない。

「ところで」
「はい?」
「マルチちゃんは浩之ちゃんにどういうことされたの?」
「?」
「うーん……例えば、一緒にお風呂に入ったことはあるよね?」
「はい! ……でも、どうして知っているんですかぁ?」
「それは企業秘密だよ。お風呂場は湯気で見えなかったけどね」

 ……其の一参照

「そのとき、マルチちゃん、どんなことしたの?」
「えっと……お背中をお流ししました!」
「そんな当たり前の事じゃなくて……うーん、そのとき、浩之ちゃんは何か言わなかった?」
「と、申しますと?」
「例えば……『よし! んじゃ、マルチも一緒に入るか?』とか」
「うわぁ……お言葉も一緒です……どうしてわかるんですかぁ?」
「……へぇぇぇぇっっ……あ、気にしないで。で、その後は?」
「浩之さんは、『裸のつきあいが大切だ』とおっしゃってました」
「私だっていつでも『裸のつきあい』したのに……ちっ……で?」
「で? と申しますと?」
「その後は?」
「そのまま、お風呂に入っていましたが?」
(うーん……お風呂で(描写不可)とか(危険妄想)とかしなかったのかなぁ?)

 ……あかりさんの思考は只今18歳未満お断り中につきしばらくお待ち下さい。

「……りさん! あかりさん!! しっかりして下さい!!」
「えっ? どうしたの??」
「なんだか、あらぬ方向を向いていらしたので」
「あ、いけないいけない、呆けちゃったよ」
「作者さんも好きですね、瑠璃子さんセリフを使わせるのが」
「あ、たぶん、ほっとけ、とか思ってるよ、きっと」

 ……ほっとけ。

「ほらね?」
「わぁ……すごいですー」

 …………。

「それじゃ上がろうか? ……ん?」
「?? どうしたんですか、あかりさん??」
「マルチちゃん、ごめんね?」
 そう言うと同時に、あかりはマルチの右耳のカバーを外す。
 すると、ぽろぽろっ、と、何かが転がってきた。
「どうしたんですか、あかりさん?」
「……これは……」



 ぴんぽ〜ん
「はいはーい……っと、誰だよ……うわっ?!」
「……」

 ぺこり

「あ、ああ、久しぶりだな、先輩。突然どうしたんだ?」
「…………」
「え? マルチはどうですか、って? あぁ、全然問題ねーぜ。料理以外は見事なもんだ。学習型だけあるよなー」
「…………」
「んー、そうかな。だけど、料理も今日から心配が無くなったんだ」
「………」
「え? どうしてですか、って? そ、それはだなー……」
「…………………」
「え!? あかりさんが今日からこの家に暮らすからでしょうか、って!? ど、どうしてそんなこと先輩が知ってるんだ!?」

 ぽっ

「いや、先輩、顔赤くするところじゃないって」
「…………………」
「え? お世話になります、って??」
「…………………」
「ちょ、ちょっと待った!! 空いてる部屋って……」

 ぺこり
 すたすた

「わっ、ちょ、っと!?」

「……どうしたのでしょうか? 芹香さん??」
「きっと私にバレちゃったから慌ててきたんだよ」
「はぁ?」



「へぇ……」
 芹香の部屋に残された一枚の手紙を読んでみる。
『友達の家に行ってきます 芹香』
(”友達”って、浩之以外には無いでしょうねぇ……こんな時間に外出、しかも家族には黙ったまま行ってるし。となると……)

 にやり

「女よねぇ、姉さん」

 ……何なんだ?

其の四 〜ルームメイト 来栖川芹香〜に進んでしまえ!

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