序章番外編
〜浩之、ゲットだぜ!!〜


「ただいま〜」
「おかえり、あかり」
「あ、お母さん。聞いて! マルチちゃんの記憶が戻ったんだって!」
「何ですって!?」
「浩之ちゃんも大喜びで……」
「あかり……、こうしてはいられないわ!」
「えっ?」
「このままじゃ、マルチちゃんに浩之ちゃんを持ってかれてしまうわよ!!」
 あかりに向かって、びしっっ!! と人差し指を向けるひかり。
「えっ?」
「あかり……。マルチちゃんに萌えーな『浩之ちゃん』は何人いると思ってるの!?」
「あっ!」
「気付いたようね……。でも大丈夫!! あかりも少しくらいしか負けてないわ!! 某ギャルゲー雑誌でもベスト5に入るほどのあなたなら勝つ要素は充分よ!!」
「……お母さん、それ、滅茶苦茶傷つくんだけど……」
「あなたよりもっと傷ついている人がいるから大丈夫!」

 ところ変わって某所にて。

「「「「「「「「「くしゅん!!」」」」」」」」」

 ところ戻って神岸家。

「……今、同時にくしゃみした人がいたような……?」
「あかりの気のせいよ。そうしておきなさい。そのほうが平和よ。他社の娘もいるみたいだから」
「たしゃ?」
 そんな都合が悪いあかりの質問はあっさりとかわされ、母は会話を進めた。
「こうなったら、あれしかないわね」
「あれ?」
「いい? あかり。基本的に男は『ヤりたい動物』、そうでしょ?」
「う、うーん……」
「となると、浩之ちゃんの心理をついて、あくまで浩之ちゃんから迫るようにコントロールし、既成事実を作っちゃうほうが手っ取り早いっ!!」
「え、えーーっ!?」
「貴女ほど浩之ちゃんの心を読み切れる子は存在しないわ。自信を持ちなさい、貴女ならヤれる!!」
 あのーお母さん、さりげなーく、ぐっと握る拳が下品です。
「お母さん……どうして、そんなことを……」
「ふふふ……私もお父さんを捕まえるときはがんばったものよ」
「えぇっ!?」
「たとえばね……ごにょごにょ」
「ええーーっ!? 危険日に限ってご宿泊〜!?」
「しっ! 声が大きいっ!! これはさすがにばれて失敗したんだけどね……ごにょごにょ」
「ええーーっ!? ゴムに針穴ぁ〜!?」
「くすくす……これはさすがにお父さんも全然気がつかなかったわ……」
「も、もしかして私は……」
「それ自体は『せいこう』したんだけどねー、あかりは結局結婚後だったの……」
 ふぅ、とため息ついてる場合じゃないですよ、お母さん。ものすごーく下品です……。
 それに、あかりちゃんが下手すると『既成事実』だったのが酷いです……。
「……」
「とにかく!! 後込みしてたんじゃ勝ち目なんかないわ!! 攻めてSEめて責めまくるのよっ!!」
 そこまで一気に言葉を吐くと、がしっ、とあかりの両肩を掴むひかり。
「お母さん……『せめる』っていろいろあるんだね」
「あまり書きすぎると18禁になるから。順番にも気を使ってるのよ?」
「……」
「あかり……行きなさい。焦りは禁物よ。浩之ちゃんを真綿でしめるようにゆっくりと確実に捕まえるのよ!」
「……うん!!」
「がんばるのよ、あかり!!」
「がんばるっ!!」
(ふふふ……、これでしばらくはお父さんと新婚気分だわ……)
 という母のしたたかな考えがあるのも知らず、一人盛り上がるあかりだった

第一章 ニューヨクへ逝きたいか?に進む。

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