序章其の二
〜嗚呼伏せ字〜


「それじゃ、今日は私がおいしいものを食べさせてあげるよ」
「おっ?」
 そういえば、マルチは学習型だし、あかりが料理するところを見ればいきなり上達するかもな。最近あまりいいもの食ってないし、願ったり叶ったりだ。
「元に戻ったマルチちゃんにも会いたいし」
「そうか? それなら頼むわ」
 オレはあっさり、何も考えずにそう言った。
「ふふふ……、それじゃ、夜に行くね」 
 妙な含み笑いを残すあかり。
 このときばかりはあかりの考えがまるで読めなかった。



「ただいま〜」
「あっ! 浩之さん、お帰りなさいませ!」
「おぅ、……? マルチ、なんだか焦げ臭くないか?」
「……あっ!!」
 ――だだだだだだ……ぽてっ。
 あ、走っていったはいいがこけた。
 そのまま匍匐前進のように台所へ入っていく。立ってもいいのに。
 そこでもくもくと煙を上げるフライパンを見て、いきなり肩を落とすマルチ。
 ……おい、いくらロボットだからって、マジで肩を落とした訳じゃないからな。
「あううっ……またやってしまいましたぁ……」
 おう、予定通りのmkVだ。まわりには……ソースとマヨネーズ??
 ……。
 おそらくmkVはお好み焼き味だったんだろう。
「大丈夫だ。今からあかりが来るから」
「えっ?」
 すると、ぱあっ、と表情が明るくなるマルチ。
「あかりさんですかー、お会いするのもお久しぶりですー」
「夕飯作ってくれるってさ」
「そうなんですか?」
「あかりはそんじょそこらの奴とはレベルが違うからな。小林○ツ代も真っ青だ。マルチもよく勉強しとけよ」
「はいっ!!……ところで」
「何だ?」
「”こばやしかつよ”さんとは、どういった方なのですか?」
「せっかく伏せ字にしたのにしゃべんじゃねぇ!!」

 オレは問答無用の逆手ツッコミを入れた。  

最終序章 どうせいっちゅうねん に続く

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