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あかまるっ!!




序章其の一
〜ミートせんべいmkU〜



 オレのところにマルチが戻って早一週間。
 相変わらずドジな奴だが、一生懸命家事をこなす姿勢はほめたものだ。
 ただ……昨日のミートせんべいmkUにはだまされた。なにせ、以前のミートせんべいに香ばしさを加えた醤油味だ。皆さんもご賞味あれ……わかってる。ディスプレイを通してのお前の顔が、嫌だ、って言ってるよ。
 しかし、このままだとmkUにとどまらずmkV、マスターシステム、果てはメガドライブミートせんべいも未来には待ちかまえているのだろうか?
 そう考えると、ある意味、この先のミートせんべいが楽しみかもしれない。
 ……しまった、SCシリーズを忘れてた。
「浩之ちゃん、誰に向かって説明してるの?」
「ん? おう、ディスプレイの前の皆様に、昨夜の食事の説明をしていたところだ」
「あ、そうなんだ。やっほ〜、みんな見てる〜?」
「あかり……そんなに手をぶんぶん振ったところで、誰も振り返してくれないに決まってんだろ?」
「え? ほら、振ってくれてる人もいるよ?」
「……マジ?」
「マジです」
「うわっ!? せ、先輩!? あ、あれ……??」
 いきなり背中に先輩がいたかと思うと、それだけ言って、どこかに消えていなくなった。
「浩之ちゃん……今の……」
「何も言うな。作者がどうしても芹香先輩を出したい欲望により生み出された幻だ」
 ちなみに、芹香先輩萌えを公言してはばからない作者である。
「話は戻るけど……、私たちは今、同じ大学、学科に通う大学1年生で、ほとんど高校時代と変わらないような関係にいるんだよね?」
「……あかり、どこをどう戻っていけばそういう説明文になるんだ?」
「あ、いけないいけない、間違っちゃったよ。ちょっと電波の調子が悪くて」
「そりゃゲームが違うやろっ!!」
 ……その会話文も、すでに一粒300メートルぐらいの歪みが生じていることに本人たちが気付くのは、まだ先のことであった。

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