百人一首

(その十八) (完)


おほけなくうき世の民にお
ほふかなわがたつ杣に墨染
のそで  前大僧正慈圓

花さそふあらしのにはの雪
ならでふりゆくものはわが
身なりけり入道前太政大臣



来ぬ人をまつほの浦の夕な
ぎに焼くやもしほの身もこ
がれつつ 権中納言定家

風そよぐならの小川の夕ぐ
れはみそぎぞ夏のしるしな
りける   従二位家隆



人もをしひともうらめしあ
じきなく世を思ふゆえにも
のおもふ身は 後鳥羽院

百敷やふるき軒端のしのぶ
にも猶あまりある昔なりけ
り     順 徳 院

【あとがき】

小倉百人一首が終わりました。

九十五歳で彼岸に旅立ちました私の母が正月には必ずこの歌留多
をすることを楽しみにしておりました。
弟一家、私ども一家、母を盛り立ててそれはそれは賑やかな、
正月二日でございました。

母の姿も弟の姿も見えなくなった今、私は独り、母の写真を
前にして書き続けて参りました。

こんな粗末なものですのに、お励まし下さいました皆様に厚く御礼
申し上げます。 ありがとうございました。


トップへ戻る