『ちから』
 誰もが憧れるものだと思う。
 何にでも絶対に負けない、もしくは誰も持っていない『ちから』を持つことが出来れば、なんとも素晴らしい人生を歩める、誰もがそう思うだろう。
『ちから』と言っても、単純に力が強くて、なんでも持ち上げることが出来る、そういったものでなくても良い。
 例えば、何か一つ楽器を演奏する『ちから』があれば、それだけでも、なんとも素晴らしいものではないだろうか。
 また、平均してなんでも出来るかわりに、何か一つ飛び抜けた『ちから』がない人は、それはそれですごい事のはずなのに、なんとなく魅力を感じないのも、また真だろう。
 勉強でもいい、スポーツでもいい、芸術でも話術でも。他人が持たない『ちから』ならなおさら。
 何か一つの『ちから』は誰も欲して止まないものだろう。
 そして、私もある『ちから』を持っている。
 でも、私の『ちから』は、他の誰も持たない。
人間自体が持ってはいけないものかもしれない。
 そんな『ちから』を持っていることに気がついてから、もう随分と経つ。
 私はこの『ちから』を使い、様々なことを試みようと思ったことも何度もある。
 だけど、先ほど言ったように、人間が持つ『ちから』としてはあまりに強大なのだ。
 なぜなら、これは使いようによって。
”なんでも思い通りに出来る”『ちから』だから。

雫SS

Only One


 放課後。あるものは帰宅、あるものは部活に、それぞれ鞄を持ち、移動し始めて、俄に騒がしくなり始めた。そんな中、私はじっと掌をぼおっと見つめ、机の上に乗っている消しゴムにおもむろに手を伸ばし、軽く目を閉じる。そして、掌で消しゴムを包み込み、精神を集中させ、願った。
『消しゴムよ、手から消えなさい』
 たったこれだけを言った後、目を開け、掌を小指から順々に広げていく。
 するとどうだろう、掌から手品のように消しゴムが無くなっているのだ。
 手品と違うところは、タネも仕掛けもまるでないところだ。さらに付け加えると、この存在自体も私以外全ての人の記憶から抹消されてしまうらしい。
 でも、手品まがいのこともできる。
 先程と同じように、手をぐっと握る。
『消しゴムよ、出てきなさい』
 すると、手に先程の感触がよみがえってきた。
 同じように手を広げると、消しゴムが掌に戻ってきているのだ。
 これはものに限ったことではない。動物も、人でさえも、同じ事が出来る、と思う。
 動物実験は、この前、たまたま塀の上で目だけギョロギョロしているだけで、退屈そうに座っていた雑種の野良猫で試した。すると、今の消しゴムと同じようなことが出来たのだった。そしてそれまで猫を見つめていた隣にいる私の友達である藍原瑞穂は、さして驚いた様子も見せない。
『瑞穂、さっきまであそこにいた猫は?』
 さも不思議そうな顔をして聞いてみた。
『あれ? 猫なんていた?』
 真面目な顔をして受け答えする瑞穂。嘘を付けない性格だけに、先程の猫が頭から無くなっているのだろう。元に戻すと、今度は先程いなくなっていた事実を把握していないらしいのだ。ものでも同じだった。図書館の本を借り、それを消してみると、管理するパソコンのデータから抹消されている念の入れようだ。
 だがまだこの点に関しては人体実験はしたことがない。確信はあるのだけれど。
 さっき言ったけど、私の『ちから』は”何でも出来る”。
 ものを消したり現したりするだけじゃない。これ以外なら生やさしい内容の人体実験はしたことがある。
 例えば、瑞穂。
 彼女は、どちらかというと内気で、積極的に前に出るタイプではない。
 そんな彼女がなぜ生徒会といういかにも目立つようなものに入ったのかというと、私が今のように願ったからだ。
『瑞穂、生徒会に入りなさい』と。
 それまで、私がいくら勧誘しても頑として受けなかったのが、ころりと一変、生徒会に入ると言い出したのだ。しかも、それまで意固地に断り続けたのをさっぱりと忘れて。
 このように人の感情を変化させることなど、たやすくできてしまう。その気になれば、殺人だって強盗だって思いのままだ。そして私も自分の『ちから』を試したい欲求は常にまとわりついていて、その欲望に負けてしまうことだってあるかもしれない。異質な『ちから』を持っていて、それをずっと封印したままいられるほど、私は人徳者ではないのだ。
 今は、今生きるこの状態でも満足しているから、全く手を付けていないだけに過ぎない。
 私の中に欲望渦巻くとき、私は歴史に名を連ねる悪女以上のことをやってのけるかもしれない。また、それはそれでいいと思っている。
 誰かが、私のことを否定することができるだろうか。
 もし、その否定した誰かが同じ『ちから』を持ったなら、案外、私よりも早く、そしてより恐ろしい目的で、その『ちから』を実践しているかもしれないだろう。
 人間なんて、所詮そんなものではないだろうか。
 自分が持つ『ちから』をすべて出し切ることは、なんら悪いことでもないはずだから。
「香奈子ちゃん、どうしたの?」
「……ん? あぁ、瑞穂」
「何か考え事? 私で良ければ相談に乗るよ?」
「……ううん、なんでもない」
「そう……。それじゃあ、私は先に生徒会室に行ってるね?」
「うん、わかったわ」
 瑞穂は、私のこういった、灰色がかった胸の内を全くと言っていいほど考えていない。心の中では、誰もが何を考えているかわかったものではないのに。
 邪気が無いというか、瑞穂のことを、良い子ぶってるだの、媚びてるだの、そう言った捉え方を周りの人間が考えているかもしれない、ということを一つも考えていないのだ。
 そういった意味で、私と正反対。
 だから、私は瑞穂のことがかえって気に入っている。
 瑞穂のおかげで、私の色が確実に薄まっているのが実感できるからだ。

 生徒会。
 響きだけは綺麗だが、学校側が主催する主立った行事などの裏方役や、部活動の予算の振り分けや、文化祭の監視役、そんな憎まれ役も多く、あまり美味しい果実をかじらせてもらう立場ではない。が、生徒をまとめる事が好き、とか、上に立つ愉悦感に浸りたい、などという、そういうのが好きでない人にとっては、ある意味ありがたく、ある意味奇異な行動をとる人たちが集うところだ。
 ……と、思っているのは、私だけかもしれないけど。
「今日の議題は?」
 生徒会の役員である吉田由紀が当たり前といえば当たり前の質問を会長に向ける。
「ああ、えっとね……」
 そういうと、会長は手に持っている用紙を配り、目を向けるよう指示を出した。
 私は副会長として、生徒会に携わっている。というより、会長は私が選出したようなものだ。あくまで可能性だけど、私が会長になることもあったかもしれない。だけど、会長職、というのは、教師と生徒のあらゆる問題の板挟みの中、努力してもあまり認められない、あまりに理不尽な役職だ。故に私が1年生全員に願ったのだ。
『一年生よ、彼に投票しなさい』と。
 正直、一年生が演説一回だけで日頃何の関わりも持たない上級生を選ぶことは、あまりに不条理だろう。
 その点、現会長は、演説も先生受けする内容だったし、責任感も強いので、会長として問題はないだろう、そう思って、彼を抜擢したのだ。
 会長より副会長の方が私としては魅力的だったに過ぎない。
「太田さん、君の意見は?」
「……はっ?」
 ぼおっとしてしまった間に議題はすすんでいるようだった。私に突然振られて、間抜けな声を思わず出してしまう。
「……聞いてなかったの?」
「ごめん、なんだっけ?」
「えっとね……」
 聞いていなかったこともさして気にせず、もう一回同じ内容を話す。
「えっと、そうね……」
「……」
 そんな感じで、あまり滞りなくすすんでいく。
 そして会議も終わり、立ち上がろうとすると、瑞穂に声をかけられた。
「香奈子ちゃん、どうしたの? いつもだったら、そんなにぼおっとしていないのに」
「……ごめんね、瑞穂。本当になんでもないのよ」
「そう? ……わかった」
 本当に? 顔だけでそう訴えているのが判るが、敢えて瑞穂は言及してこない。
 このあたりも瑞穂のことを気に入っている一因だった。
「じゃあ、私、帰るね」
「うん」
 そう言って、瑞穂は鞄を抱きかかえるように持つと、生徒会室から出ていった。それと同時に、
「どうしたんだい?」
 と、いきなり話しかけられた。
「あ、つ、月島さん!?」
 突然のことにどきりとしてしまう。
 この人――月島拓也さん。前会長であり、私のカレでもある。
 顔も性格も申し分なくて、まわりからも、先生からも、信頼されて。
 私が告白したとき、なんの躊躇もなくOKを貰った日には、胸が高鳴りすぎて全然夜眠れなかったことを今でも鮮明に思い出す。
「藍原さん、なんだか思い詰めていたような顔をしていたけど……」
「えぇ、少し私が会議中ぼおっとしちゃいまして、瑞穂が心配してくれたんです」
「ふぅん。太田さんに限ったことではないけど、その人が普段しないようなことをしていると、なんだか心配だよ。なにかあったの?」
「いいえ、なんでもありません。でも、少し考え事をしていたんですけどね」
「どんなこと?」
「それは、乙女の秘密です」
 それを聞くと、月島さんはぷっ、と吹き出したような顔になる。
「ははは、あまりに太田さんらしくない発言だな。藍原さんが心配する理由も判るよ」
「ひどいですね。そんなに似合いませんか?」
「うーーん、そうだなぁ……」
「そんなに深く考えないで下さい。結構傷つきます」
「あ、す、すまない。別にそういう訳じゃあ……」
「ふふ、冗談です。それじゃあ、今日は約束通り、映画を見に行きましょう」
「そうだね」
 恋人同士なのに、いまだに名字で言い合う私たち。
 由紀や、由紀の親友の桂木美和子、さらには瑞穂にまで、変、と言われた。
 そういえば、私は先輩だから、月島さん、と呼んでいたけど、月島さんに特に釘を差したわけではないのに、香奈子、とは呼ばれたことがない。告白した当初に香奈子、なんて言われていたら、それはそれで良かったのに、なんとなく流れでそうなってしまったのだ。
でも、それはそれで良いと思っている。
 私の憩いの場の一つには違いないのだから。



「はぁ……はぁ……はぁ……」
 やって、しまった……。
 で、でも……。
 戻らない……、戻らない……っ、どうしてなの!?

 ……私がいつもの様に生徒会室へ向かうと、月島さんと瑞穂が、楽しそうに会話をしていた。
 それ自体はいつものこと。
 でも、話している内容が私のことなのだ。
 それも、私がずっと気にしていること……。瑞穂と出会ったあの時のことだった。
「そういえば、藍原さんと太田さんは仲がいいけど、出会いはいつ頃だったの?」
 なんでもない会話だと思う。でも、私はなんでもなくなかった。なぜなら、瑞穂は、
「私がいじめられていたとき、間に入って助けてくれたのが香奈子ちゃんだったんです」
 そして、私が『ちから』で願い、瑞穂の記憶から消したはずの、
「そのとき、男の子をぐーで殴っちゃって……、男の子、鼻血だしちゃったんですよ」
 と言い出すではないか。
 私はこれを聞いて青ざめてしまった。
 以前はなんともなかった、どちらかというと誇りのようにも思っていた、男の子を殴りつけてしまったという事実。
 でも、私が月島さんとつきあうようになったとき、これを瑞穂から語られて、彼に暴力的と思われるのが嫌だった。
 だから、瑞穂の記憶を消した……、そう思っていた。
 でも、瑞穂は今確かに、私が消したはずの過去を、一番知られたくない月島さんに暴露している。
 そのとき、私は確かに混乱していた。
 瑞穂!! それ以上話さないで!!
 必死にそう思った。

 すると、一瞬、中から何も聞こえなくなってしまった。

 そして、幾らか間があった後、月島さんが話し出す。
「……藍原さん?」

 ?

「藍原さん、どうしたんだ?」

 何があったのだろう?

「口をぱくぱくさせているだけじゃわからないよ? ちゃんと話して?」

 ――!?

 私は気がついたようにあわてて生徒会室の扉を開ける。
 そこには、何が起きたかわからなくてぽかんとしている月島さんと。
 口を押さえて、ぽろぽろと涙を流している瑞穂がいた。
「瑞穂……? どうしたの?」   
「……!! ……!!!」
「まさか……話せないの?!」
 必死にこくこくと頷いて、意志表示をする。
 その様子を見ながら思い出した。願ったことを。

『瑞穂、それ以上話さないで!!』

 と。それが『ちから』になったのだろうか? とりあえず、それが原因なら対処のしようがあると思った。
『瑞穂、また話し始めなさい』
 と、願ってみた。でも。
「……!! ……!!」
 背中に走るものがあった。
 ……どうしたの? ……喋ってよ? ……私は願ったわ?
 ……どうしてなんだろう? ……願い方がまずかったのだろうか?
『瑞穂、言葉を喋りなさい』
「……!! ……!!」
 願い方が弱いの!?
『瑞穂っ!! 何でも良いから声を出しなさい!!!』
「……!! ……!!」
「あ……あ……あぁぁ……ああああああああああっ!!」

 ……そして気が付くと、懸命に走っていて、ここに……屋上に来ていた。
 人の場合は忘れさせたり、無くしたりすることはできるが、どうやら、思い出させたり、元に戻したりはできない、ということらしい。しかも、月島さんの様子からすると、しっかりと『瑞穂が目の前でいきなり言葉を話さなくなった』ことをたぶん認識している。もののように記憶から無くなっていない、という事が伺いしれた。月島さんが特殊なのか、人全員が特殊なのか。それはわからない。
 でもそれはどうでもいい……。
 だめだ……。ふるえが止まらない……。使う前はあんなに余裕があったのに……。
 瑞穂……これから……話せなくなるの……わ、たしの、せいなの??
 ち、違う……ちがぁあっ?!
「…………」
「み、瑞穂……何?」
「……、…………?」
 口パクから、どうしたの、何か知ってるの? と言っていることがわかる。
「な、なにも……知らないわ!」
「……、…………」
 それじゃ、どうして逃げたの? 
「そ、それは……」
「………………………。………」
 香奈子ちゃんの嘘くらいは見抜けるよ。だって
「………」

 ともだちだから

 ともだち…………。
「ふ、ふ、ふふ、ふふ……………」
「??」
「友達っていうだけで、なんでこんなに苦しまなきゃいけないの……?」
「……」
「どうしてなのかしら……、どうして……?」
「……」
「これなら……」
「??」
「最初から友達なんていなくていいかも……」

 ふっ

「!?」
 あれ? ねぇ? ちょっと? どうしてよ? どうして? どうして?
 みずほ? じょうだんよね? すこしまって? ねえ? ねえ? ねえ?
「……あはは? どこ? 瑞穂? あははは……瑞穂……悪い冗談で消えないでよ……嘘よ……嘘だから……私の言ったことは嘘だから……。だから! だから出てきてよ!! お願い!! 私、私が……嫌あああああっ!!!!」
 叫んだ。
 わめいた。
 泣いた。
 暴れた。
 でも、世の中の歯車は何事もなかったように動いていく。
 ひとり消えただけで、変わる歯車でもなかったのだった。



 ……あのさ
 ……何?
 ……私たちの生徒会って書記いないのね?
 ……え?? いたよ……えっと……あれ? だれだっけ?
 ……ほら、えっと……あら?
 ……でも、いたよね?
 ……うん、いたよ……いたのに……あれ?

 ……だめだ。
 気付かれる。
 いつか、気付かれる。
 瑞穂の存在を。
 瑞穂がいたことを……。

「ねぇ、香奈子?」
「……」
「香奈子!!」
「えっ!? あ、由紀……何?」
「最近幽霊騒ぎってわけじゃないけどさ、生徒会に書記がいないって。で、なんで決めなかったんだっけ?」
「え? さ、さぁ……」
「だけど由紀ちゃん、書記、いたと思うんだけど……」

 だめだ……。
 だめだだめだだめだだめだ。
 気付かれる、気付かれる、気付かれる……。

「ほら、太田さん、桂木さん、吉田さん、藍……あれ?」
「あい? ほら、そう!! あい、なんとかさん、っていたよね!?」

 だめだめだめだめだめだめだめだめ

 こんこん。
「どうぞ」
 ドアが叩かれ、会長が返事する。
 すると、扉のむこうにいたのは月島さんだった。
「やぁ……あれ?」

 あれあれあれあれってなになになになになににににに

「藍原さんはどうしたの?」

 あいはら

「あいはら? そう!! そうだよ!! ほら!! 香奈子!! 藍原瑞穂!! あなたの友達の藍原瑞穂!!」

 ともだちの

「そうです! 瑞穂ちゃん!! 確かに書記は瑞穂ちゃんでした!!」

 みずほ

「あ、そうだ……どうして藍原さんを忘れてたんだろう?」

 みずほ

「そういえば太田さん、藍原さんがどうして言葉を話せなくなったかわかったかい?」

 みずほ!!!!!

「ああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」

「!?」

 き。

「どうしたの!? 香奈子!?」

 え。

「香奈子ちゃん!?」

 て。

「太田さん!?」
「きえて……みずほのことがあたまにすこしでものこっているひとはきえて……きえてよぉぉぉ!!!」

 ふっ



 そして。
 がっこうには。だれも。いなく。なった。
 そのあと。みんな。みんな。きえて。そう。ねがった。から。
 がっこうに。せんせいが。いなくて。せいとが。わたし。ひとりきり。
 だれだって。あやしいと。おもうよね。
 ふふ。きもちいい。
 ちが。なくなると。きもち。いい。って。ほんとう。なんだ。
 おふろ。まっかに。なっちゃった。
 きたない。いろ。だね。
 ごめんね。おかあさん。わたし。そうじ。できない。
ふ。ふふ。
 ふふふふふふふふふふ。ふふふふふふふふふふ。
おかしい。たのしい。どうしてなのかな。
 おかしいよ。たのしいよ。わらいが。とまらないよ。
 ふふふふふふふふふふふふふふふふ。
 ふふふふふふふふふふふふふふふふ……。
 あ。ちから。やっと。ぬけてきた。わらえなく。なってきた。
 だから。おかしいんだね。たのしいんだね。
 うれしいよ。これで。こんな。『ちから』。から。かいほう。だよね。
 やっと。きたよ。それじゃ。さよなら。わたし。

 さよなら。



 BAD END? ……NO.

 放課後。あるものは帰宅、あるものは部活に、それぞれ鞄を持ち、移動し始めて、俄に騒がしくなり始めた。そんな中、私は同じ生徒会の吉田由紀ちゃんと、生徒会室に一緒に移動していた。
 そんな折、突然、由紀ちゃんが私の腕を掴んで少し引っ張ると、どこかを指さしながら私の名を呼ぶ。
「瑞穂」
「うん? 何? 由紀ちゃん?」
「ほら、あれ。2−Bの誰もいないうわさの机。怖くて誰もどかせられないって話よね」
「うん……怖いよね。『一人ぼっちの女の子』。話も良くできてるし。失神しちゃった子もいるみたいだよね」
「うん……ところでさ」
「??」

「私たちの生徒会って、どうして、副会長がいないんだっけ?」



 ……To Be Continued……

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