雫SS 〜Bind with electric wave〜 written by Talkas.Sayshell.Wizard |
…私は、いつも親の前ではイイコでいた。自分を隠していた。 …親には逆らわなかった。何を言われても我慢した。 …それが正しいことだと思っていた。そうすれば、誰にも怒られないでしょ? 「美和子、あなた生徒会に入りなさい」 私の親はいつも私の気持ちを無視して、私の進路を決める。 私はためらわずに生徒会に入った。親の言うことはいつでも正しい。少なくとも、これまではそうだった。生徒会にはいるのは進学のため。私の内申書には書ききれないほどの資格・特技などが書かれているに違いない。 生徒会には小学生のころからの幼馴染の由紀ちゃんがいた。 いくぶん私の気は落ち着いた。 もともと、私はもともと人前に立つような仕事は向かないのだ。それをいつも由紀ちゃんに励まされて頑張ってきた。だから、由紀ちゃんと一緒なのは嬉しかった。 生徒会長はやさしそうな人だった。たしか、月島…拓也先輩。副会長は私たちと同学年の太田香奈子さんだ。香奈子さんとは以前に面識がある。 由紀ちゃんと私は同じ役職についた。 大丈夫…やっていけそうだ。 生徒会役員になってから、生徒会というものは意外と暇なものなんだと感じた。 確かに、学校の行事の前は忙しい。それを過ぎてしまうと、これといった仕事はなくなってしまうのだ。いつのまにかに、生徒会役員でいることに慣れてしまっていた。 私は、行事前のドキドキの虜となっていた。 何か行事の前のようなドキドキすることはないかしら。 もっと非日常的で、もっと長く続くような…。 「…会長と副会長って付き合ってるらしいよ」 休みの日に由紀ちゃんと遊んでいるときに、ふとした話から恋愛話になった。 まさか、こんな話が私たちの運命を変えることになるとは思わなかった。 「それでぇ、放課後とか休みの日とかに学校でデートしてるんだって」 「…ふぅん、そうなんだ」 「『そうなんだ』じゃなくてさぁ…今日も、もしかしたらデートしてるのかなぁ」 「…さぁ(赤面)」 「ねぇ、ちょっと学校まで散歩しに行かない?」 また始まった。由紀ちゃんは昔から他人の恋愛にはとことん興味を示す女の子だった。 「ねぇ、行こうよぉ」 「でも、いなかったら…」 「だから、さ・ん・ぽ♪って言ってるでしょ!」 「…(赤面)」 結局、行くことになってしまった。 しかたないか、由紀ちゃんだしね。何とかうまくやってくれるでしょう。 私たちは学校まで『散歩』に行った。休みの日の学校は何か薄暗く、寒々しい空気に覆われていた。学校の怪談の噂が出るのも今ならうなずける。もう夕方近かったからかもしれないけれど。 「由紀ちゃん、きっといないよぉ。もう帰ろう?」 「これからこれから♪…ほら、生徒会室に明かりが灯っているよ」 「…えっ?」 たしかに、明かりが灯っていた。何をしているのだろうか。昨日最後に出たのは確か香奈子さんだ。彼女が明かりを消し忘れたというのは考えにくい。誰かがいるのは確かだ。 「…覗いてみようか?」 「やっ…止めようよ。悪趣味だよ?」 「いいからいいから♪」 もう、誰にも由紀ちゃんを止められない。 『ノンストップ☆・ゴー』だ。しかたないな、付き合ってあげようかな。 生徒室の中では想像もできないような事になっていた。 そこには、月島先輩を中心に二・三人の女の人が横たわっていた…裸で。 「…嘘…信じられない…」 「由紀ちゃん帰ろう?」 「…うっ…うん…」 私たちが回れ右をしようとしたとき、頭の中に電気に貫かれたような痺れが走った。 身体が熱い…うずく。 私たちはこのとき捕まってしまったんだ。 月島先輩の…電波に。 あとがき…めいたもの ど〜も、山口発・三点リーダー多用型物書きさん(見習い)タルカスです。 とりあえず、500HITおめでとうございますです(注:かとぱんがタルカスさんのHPで500HIT取りました)。 今回は『雫』で一番不幸な待遇を受けている二人のうちの片割れ桂木美和子さんでした。 いやぁ、脇役が一番書きやすい(気がする)。 ある程度、自由が利きますから…。 ではでは、この娘を宜しくお願い致します。 かとぱんです。 これは、私がタルカスさんのHPに於いてのべ500HITを踏みましたところ、SSのリクエストを タルカスさんの素晴らしい作品をもっと見たいという方は、上記リンクもしくはリンクページより訪れてみてください。 また、感想は、タルカスさんまでお送り下さいませ。 タルカスさん、まことにありがとうございました。 |