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まるちっく



 ……1997年5月23日。日本を震撼させたロボットが舞い降りた……

 それは、緑色の髪を振り乱し、耳にはセンサーをつけて、身長147cmと小柄な体格。人間に喜ばれることをするのが自らの喜びでもあり、掃除が大好きで、モップを持たせたら日本一……いや世界一似合う女の子ロボット。
 メイド服なんて着せたら、そりゃもう、萌えですか?
 9日間という短い時間内ながらも彼女のかもしだす魅力により、全国の漢共……いや『浩之』共が次々にとりつかれていき、その異常な盛り上がりは、G○AYの二十万人ライブをもしかしたら上回るほどかもしれない。
 誰もが思う。なでなでしたい!!
 誰もが思う。俺の部屋も掃除して!!
 誰もが思う。肩もんでくれ!!
 誰もが思う。ふきふきさせ…バキッ!!( −_−)=○() O )アウッ

 ――そのロボットの名は。
 
 HMX−12 マルチ



 ……皆様こんにちは。世界まるちっく普及協会会員No.120319、かとぱんでございます。

『まるちっく』とは、皆様もご存じ、あのToHeartのHMX−12、通称マルチの影響を受けてしまった方々を総称するために簡易的に用いる造語でございます。もちろん、この言い方は、同ゲームに登場する神岸あかり氏を指す、『犬チック』から言葉を頂いたのは言うまでもありません。……マルチの影響の大きさをあらわす最もわかりやすいのは亜流の存在でしょう。そう……、例えば、それは女の子ロボが出る18禁ソフトの乱発もありますし、そしてなにより、皆様もご存じ、あのゲー○ーズのデ・ジ・キャ○ットの存在といえます。彼女は、マルチにメイド服というある意味理想の組み合わせにしか見えないと思うのは私だけではないはずです。
 ……あっと、喧嘩を売っているわけではありません、でも狙ったと思われても仕方ないデザインであることはご理解いただければと思います。

 ……さて。『まるちっく』と言っても、大小さまざまな『まるちっく』の方々が存在します。簡単に区別する方法としてもっとも端的に考えられるのは、言葉使いだと思われます。例えば……謝るときは「すみません」と皆さんおっしゃることと思いますが、この言い方も『まるちっく』ならば、『す、すみませーん!』と、最初に”す”を必ず入れ、さらに”せん”を”せーん”と伸ばさなければなりません。さらに上級者にもなると鼻を詰まらせながら『ず、ずびばぜーん』といつでも発することが出来ることとおもいます。
 さらに気合いを入れて走るときは「おりゃー!」などど言ってはいけません。あくまで『でりゃりゃあああああああっ!!』など、モップで廊下を掃除するのを常に思い出し、叫ぶことが重要かと思われます。

 では、本日は『まるちっく』としての言葉の初歩をお伝えいたしましょう。

『まるちっく』として、まず覚える言葉、それは『あうっ』でしょう。普通は「あ〜あ」「ん?」「ありゃ」など、別々の言葉になりがちなものを一括して『あうっ』と言うことが肝要です。
 例を示してみましょう。
『あうっ……ビデオ予約するのを忘れちった』
『あうっ……ミスっちまった』
『あうっ……信号赤になっちまった』
『あうっ……お金が足りねーよ〜』
 など。
 これは私めが無意識のうちに口走った言葉でございます(実話)。
 上級者にもなると、この『あうっ』に様々なバリエーションを加え、これのみで意志を伝えることも可能になってくることと思います。『あうっ』と『あううっ……』など、”う”の数によって全然意味が違うことをよく理解して正しい『あうっ』を極めていただきたいと思います。
 この『あうっ』を芸術の域まで極めた存在、それはあのk○nonの”沢○真琴”氏でしょうか? 氏はかなり効果的な『あうっ』を使いこなしておりまして、もはや立派な『まるちっく』の一員と思われます。
 あぁ、そうそう、ここで留意していただきたいのは、ka○onの”月宮○ゆ”氏がお使いになっている「うぐぅ」のように、喜びのときなどにも使用してはいけないということです。
 喜ぶときは『嬉しいですぅ』『ありがとうございますぅ』でも当然よろしいのですが、快感などで嬉しさを感じるときはため息をもらすように『あふぅっ』などを入れることによってより『まるちっく』の高みへと昇っていけることと思われます。

 そして、『あうっ』の他に覚えていただきたい言葉、それは慌てるときに使う『はわっ』です。普通は「あっ!?」とか「うわっ!!」「やべっ!」などを『はわっ』で置き換えます。例えばスキーなどをしているときに、転びそうでギリギリ転ばない、そんな状態のときに使うと効果的です。ですが、それでなくとも、とにかく焦ったときに『はわっ』と言うのが、正しい『はわっ』です。

 さらに申しますと、話し方の最大のポイント、それは敬語ながらも余韻を残すことでしょう。例えば、
『浩之さーん、どこにいるんですかぁ??』
『はい! ありがとうございますぅ!!』
 など、敬語ながらもなにか甘ったるいような、そういった発音が必須であるといえます。『ぁ』『ぃ』『ぅ』『ぇ』『ぉ』『っ』の使い方が非常にポイントとなってくることがご理解頂けたかと思います。ちなみに、この話し方の先駆的な立場にいらっしゃるのは、あの『○』の日吉か○り氏だと思われます。あのお方の話し方をさらに極端なものに仕立て上げた、それが今日の『まるちっく』の話し方につながっているものと思われます。

 ……さて、今回はこれにて終了でございますが、いち『まるちっく』として、これからも『まるちっく』な方々が多数世に生まれ出ることを期待いたします。

 それでは、またお会いしましょう……。

(次は?? 選択肢:No/いいえ/いらん/ひっこめ/○とりあえず死んどけ)

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