バカな行政制裁金制度へ

それは1月20日の日経新聞の1面に載っていた。

「駐車違反の取締りを民間企業に委託することで
警察自身は悪質な死亡事故やひき逃げ捜査、交通
事故抑止活動に力を入れていく。」

良いことである。

警察だって部署によってはかなり忙しい。雑用部分を
第三者に任せれば、もう少し親身になってくれるだろう。
しかし問題はこの後。

「取締りには専門会社の設立や警備会社の参入など
が想定される。」

問題はここ。

「専門会社の設立」

今現在、警察には40〜55歳の人間がメチャメチャ多い。
いわゆる団塊の世代っちゅうやつ、しかも70年安保で
大量採用された、脳みそが筋肉でできてる人間達である。
この人間達が2006人以降、毎年約1万人、10年間にわたって
退職していくのだ。ようは天下り先が無くなるのだ。

天下れるのは、ほんの一握りのエリート君か要領のいい人間
だけになってしまう。そのエリート君達が恐れているのは、脳みそ
が筋肉でできている、肉体労働系警察官による暴露本等である。
これを解決し、おまけに利権まで拡大することができる、切り札
それが「行政制裁金制度」なのである。

なぜこの制度を許してはいけないのか?

その1
取締りを受けたが最後、不服や意義があっても弁明の機会が
与えられない。そのため不当な取締りが激増する可能性がある。

その2
税金で給料が支払われている警察の取締りと違い、民間がこれを
やるとなると、その分の人件費が制裁金に組み入れられる。よって
現在の反則金よりかなり高額になる可能性がある。

現在も警察業務の民間委託といえば、すでに「レッカー移動」や
「パーキングメーター管理」「免許更新講習」などが実施されている。
これらの費用はすべて「実費」が原則である。つまりこれによって
「金儲け」なんてありえないはずなのだが、実際はレッカー移動
手数料1万4千円のうち、約4000円が警察官や安協職員の人件費
に残りの1万円がレッカー業者に渡るなど、かなりのボッタクリ状態
だし、パーキングメーターにいたっては収入の8割が安協への委託費
である(しかも、この金額の根拠となっている原価計算がかなりあやし
い)。ボロ儲けもいいところなのだ。実費でこれなのだから、これが
制裁金となったらどういうことになるのか?

現状では駐車違反の反則金は1万5千円。これが倍の3万円になる
として、2001年の駐車違反件数181万6870件をかけると、ざっと
545億5061万円のあがりとなる。が、もちろんこれだけではすまない。
捕まえれば捕まえるほど儲かる「民間」が取締りを行うのだ。件数は
今よりはるかに増える。そして、いったん行政制裁金が導入されたら
いろいろ理屈をつけて駐車違反のみならず速度違反や一時停止など
他の取り締まりにも適用範囲が広がっていくのだろう。

民間委託とか行政罰にするというのなら、警察は罰金も点数も
すべての業務から手を放すできである。それなら話がわかる。
しかし警察が権限やお金から一切手を引かない限り、行政制裁
金は非常に危なすぎるだろう。

こんな制度が許されたら大変なことになるで、ほんま。