バカなT県A警察へ


11月29日にまた車上荒しが来た。
これを読んでいる、大半の人は知っていると思うが
俺様は大変神経質である。
いや、神経質でなくても気が付くと思う。
ドアのところにイボイボの付いた軍手の跡があった。
車の膝の位置には手の跡がついていた。
しかも、何とそこには指紋が・・・。

そこで、心優しい俺様は思った。
「もしかしたら、犯人逮捕に協力できるかも・・・。」
そう考えた俺様は、仕事が終わってから、わざわざ
行って来たよ、警察へ。
まぁ、感謝状までは貰えなくても、感謝感激雨あられかな。
そんな、くだらないことを考えながら警察へ向かった。

中に入ると1階で受付をした。担当の人に5分くらい
状況説明をした。と、その人が言った。

「じゃ、2階に行ってください。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

心の声
「だったら最初からそう言え!いや、途中からでもいいから
そう言え!って言うか、俺の青春の5分を返せ!さあ返せ!
しかし待てよ、俺様ってまだ青春なのか?さあ、どうなんだ?
ファイナルアンサー?はい、ファイナルアンサー。って、おい!
危ねー危ねー、危うく騙されるところだった。」

この間3秒。
「・・・・・・・・・・・・・・・・うっす。」
国民栄誉賞のためだ。俺様は素直に2階に向かった。

2階は刑事課である。案の定、空気が悪い。
一瞬数名の目が上がるも、すぐに目が語る。

心の声(推測)
「おいおい、何だよ、もう閉店だぞ!ったく、ただでさえ
忙しいのに。お前行けよ、おい。」
「俺っすか?勘弁してくださいよ。俺忙しいんっすよ。
先輩行ってくださいよ。」
「ったく、最近の若けー奴は・・・。じゃ、オメー行け、こら。」
「まっ、待ってくださいよ、マジっすか?とほほ。」

この間2.7秒。
「はい何ですか?」

1階で話したことと、まるで同じことをもう一度話した。

「ちょっと、お待ちください。」
その若いおにーちゃんは奥に行ってジャンバーを着て
外の俺様の愛車のところに来た。
そして懐中電灯でぐるぐると回りを照らした。

「軍手の跡が付いてるね。」
「そうそう、こっちには指紋がついてるんだよね。」
「何か捕られたものは?」
「別に何も。」
「あ、そうですか。」
「ええ。でも指紋が付いてたので、何か役に・・・。」
「車上荒らしじゃないでしょ、これ。」
「へっ?だって、さっき軍手の跡って・・・。」
「前にも車上荒らしにあってるから、ちょっと神経質に
なってるんじゃないの?」

心の声
「ちょっと待て、ちょっとだけ待て。言っていいことと悪過ぎる
ことが同居して、まるで渡る世間の泉ピン子のようになって
あまりのことに、開いた口がふさふさのアートネイチャーだよ。」

この間1.7秒。
「でもこんな膝のところに指紋が付きますかね?」
「近所とか会社に小さい子供でもいない?」
「これ、明らかに大人の指紋でしょ?」
「・・・・・・・・じゃ一応指紋取りましょうか。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一応?」

只今、指紋採取中。(無言)

「一応取ったけど、薄いなー。」
「薄いんですか?」
「これだと、でないかもしれないなー。」
「ふーん。」
「今の時代、安全はタダじゃないからね。」

久しぶりに心の声
「それは警察なんか来てる時間があるならとっとと、セコムに
行くか北関東警備保障に行って申込書取ってこい、ってこと?
ねえねえ、そういうこと?よく聞こえなかったの、ねえねえ。」

この間2秒ジャスト
「それに、こういうふうに車の中に物置いておくと
狙われやすいんだよねー。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

心の声
「最近ちょっと疲れ気味で耳の調子が悪いのかな?
俺様の車が汚い?俺様のCD達のせい?どういう事?」

この間0.7秒
「ここ太田に近いでしょ、外国人犯罪多いんだよね。
人が足りないんだよねー。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふーん。」
「まぁ指紋が一致するのは、難しいと思いますので
連絡しないと思います。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー、そうですか。」
「じゃ、今日はお疲れさまでした。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうも。」


感謝状は貰えなかった。
警察の夜明けは遠い。